日本における「観光」という言葉の初出は、「観光丸」であるといわれる。昭和5年(1930年)浜口内閣の時国際観光局は創設された。「観光立国」の筆者である岸衛の進言によって創設された。名称は、鉄道大臣江木翼の意見によったと言われている。博識であった鉄道大臣江木翼が『易経』を引用した。この時期には、「大変珍しいもの」という程度で用いられていたと言った見方もあるが、ツーリスト・ビューローの出版物TOURIST(1918年3月号)では、アイヌ文化を詳しく伝えて、国の光=文化の概念の普及に努めている。 概括的に言えば、観光は明治時代からある単語ではあるが、きわめて限定的にしか用いられず、むしろ今日で言う外国人観光客誘致、インバウンド誘致といった意味合いが込められていく。ツーリズムの訳語として充てられたのも、そうした時代背景がある。 なお、中国では「観光」は一般的ではなく、旅游、遊覧が用いられるようである。当時から、国内観光には、遊山、遊覧、漫遊、行楽などの用語が用いられ、今日の意味合いで、つまり、国内旅行の意味も含めていうところの「観光」が定着したのは1960年代以降とされる。 |